外資の株式保有比率制限を緩和へ
ただ、中国国内の力だけでは、政府のEV促進目標の達成は難しい。そのため中国政府は新エネルギー車の合弁生産に関する外資の株式保有比率制限の緩和を検討している。米国のブルームバーグは9月19日、企業筋から得た情報を引用し、「中国政府は自由貿易試験区において外資が独資企業を設立してEVを生産することを許可する」と伝えた。
商務部の王受文副部長は8月25日、国務院新聞弁公室のブリーフィングで、「新エネルギー車に関し(中国は)外資の株式保有比率が50%を超えないよう求め、専用車(ごみ収集車、消防車などの特殊自動車)も同様であるが、次の段階では参入条件を緩和し、制限も軽くしていく」と述べた。
自動車の合弁生産に関する株式比率は、1994年に策定した「自動車産業政策」で明確に規定されている。この政策は2004年と2009年、2度にわたって修正され、一部については内容が留保された。現状では、完成車の中外合弁生産企業における中国側の株式保有比率について50%を下回らないとし、同時に中国国内で、外資は同機種の合弁生産企業を2社までしか設立できない、と制限している。
外資の自動車メーカーは合弁政策に基づいて生産の現地化を進めるため、必ず中国側の合弁パートナーを必要とする。合弁に際し、株式保有比率と設立可能な合弁企業数を制限するのは、外資の猛攻から中国の自動車産業を保護するためで、同時に「マーケットをもって技術に換える」という目的がある。これは、技術移転に消極的な外国企業に対して、巨大な規模を持つ中国市場を背景に、中国企業に技術を移転する外国企業にだけ設立の許可を与えるという技術移転促進政策を意味している。
しかし新エネルギー車、とくにEV分野では、これらの制限を逐次撤廃していく動きが見られる。国家発展改革委員会と工業情報化部は今年6月に文書を通達し、EV分野における制限を免除し、外資企業1社が中国国内で2社以上の合弁会社を設立することを許可した。
これを受けてフォード・モーターも今年8月、衆泰汽車と株式保有比率50:50でEVの合弁企業を設立することを発表した。新エネルギー車は中国政府が全力で支援する産業分野だ。政府の担当部門の幹部は、「中国のガソリン車分野は競争力に欠けるが、新エネルギー車領域では、カーブを利用して先行者を追い抜く可能性を秘めている」、つまり技術の大転換機を捉えて先頭集団に追いつき追い越すと、期待を込めて語る。
世界の自動車大手が我先にと中国へ
中国政府(工業情報化部)は6月13日に、「乗用車企業燃料消費・新エネルギーポイント管理辧法(草案)」を発表した。この「ポイント管理」とは、乗用車を生産する企業は、一律に一定の比率の新エネルギー車を作らなければならず、新エネルギー車を生産しない場合、他社から枠を購入して比率を達成しなければならないという内容だ。
注目すべき点は、新エネルギー車の占める比率(ポイント比率)が、2018年までに8%、2019年が10%、2020年を12%と設定されていることだ。
新エネルギー車促進政策のもとで、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは、2018年にEVの生産量を大幅に増やす準備をしており、その中でも中国の増加幅が最大である。ゼネラルモーターズは中国をEV研究開発の中心とする。フランスと日本のメーカーであるルノー日産とフォード·モーターは、中国でのEVの合弁プロジェクト実施を急いでいる。
世界の自動車メーカーはEVの未来を見通して、その焦点を世界最大の自動車市場である中国に絞っている。中国政府が自動車充電スタンドと研究に巨額の投資を行い、メーカーに電池を動力とする車両の開発を促すにつれ、世界の大手自動車メーカーは次々とその主要な科学研究·設計業務を中国へと移している。
中国も海外の大手メーカーとEVの知識を分かち合うことを希望している。外資系の自動車メーカーは、彼らのEV技術を現地の合弁者に移転することを要求する、中国の新たな法律による“官制”圧力に直面している。中国はさらに公的で厳格な統制を行い、フォルクスワーゲンやゼネラルモーターズなどのメーカーに、「中国で新エネルギー車を販売せよ、さもなければ、旧式のガソリン車の販売は制限される」と迫っている。