ゲーム的な要素を持つSNSのメリットとデメリット

例えば、同じ内容でも言い方を変えて「残念ながら、政策の違う方も全員受け入れるというわけにはまいりません」ならどうだっただろう。コメントは長く要点がぼやけるし、コンテンツとしてはおもしろくない。今回ほどの広がりはなかったかもしれない。

小池さんは短くまとめた“キャッチーなフレーズ”が得意だ。わかりやすく、どこか耳に残る言葉がマスコミにもSNSに好まれる。“都民ファースト”、選挙公約の“ダイバーシティ”、豊洲市場問題の“レガシー”なども記憶に新しい。こうした短くキャッチーな言葉は、SNSなど少ないスペース向けだ。

こうしたSNSでの拡散は、ゲーム的な要素もある。ポイントを集めるかのように「いいね!」を得やすい人気のあるコメントや言葉が好まれ、すでに「いいね」が多数ついた文章なら、大多数の意見として反感を買いにくいから、さらに安心して拡散しやすい。

特にSNSは、各人が個室にいながら大きな発言力を持つが、真実でありながらも情報の印象を大きく歪曲できる可能性だってある。さらに発言者個人の活動に見えつつ、力のある人や多数派の意見に迎合したり左右されたりしやすい性質から、集団的な側面も持つ。

うまく使えば大きな宣伝効果を生みながらも、今回のように発言の仕方ひとつで足元もすくわれやすい。希望の党が出したとされるネットでの発言規制もわからなくもない。

記事と広告の区別もつかない学生たち

さて、先のスタンフォード大学の実験では、活動家グループのツイートには偏見が潜む可能性が高いことを理解しているのは、大学生ですら3分の1程度にすぎなかったという。さらには、中学生は記事がニュースなのか宣伝なのかの区別もつけられず、宣伝広告の意味すらも理解できていない生徒たちもいたようだ。

どこの情報なのか、その切り取られた部分が果たしてどんな文脈の中で本来はどんな意味であったのか。読み手として見極める力、メディアリテラシーをつけることは、ますます必要になっていくだろう。

そして、企業や政治家の発言を見ているうちはどこか対岸の火事にすぎないはずが、気軽な発信で“そんなつもりじゃなかったのに”は誰にも起こりうると、心しておきたいものだ。

【参考資料】
STANFORD HISTORY EDUCATION GROUP「EVALUATING INFORMATION: THE CORNERSTONE OF CIVIC ONLINE REASONING:EXECUTIVE SUMMARY」November 22, 2016
https://sheg.stanford.edu/upload/V3LessonPlans/Executive%20Summary%2011.21.16.pdf

(写真=ロイター/アフロ)
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