「東京都知事である小池氏が、国政政党の代表を兼ねることには当初から懸念の声もあった。それでも国会議員主導の新党構想を『リセットして私自身が立ち上げる』と乗り出した」

この辺は事実だろうが、次のくだりはいただけない。

「一時は吹くかに見えた小池旋風も、自ら持ち出した『排除の論理』で急速にしぼみ、衆院選では『排除された側』の立憲民主党に野党第1党を譲った」

小池氏はなぜ支持を失ったのか

前述したように沙鴎一歩は衰退の原因が排除の論理にあるとは考えていない。では小池氏はなぜ支持を失ったのだろうか。

朝日社説は中盤で「小池氏が政党代表をやめるのは、この半年弱で2度目だ」と指摘し、夏の都議選での地域政党「都民ファーストの会」の代表就任と辞任、そして衆院選前後での希望の党の代表就任と辞任を取り上げる。そのうえで「新党設立、代表辞任の繰り返しが政党や政治への国民の不信をさらに深めることを憂える」とお灸をすえている。

要するに小池氏は優柔不断なのだ。ぶれやすいのである。これは性格なのだろう。小池氏の秘書をはじめ、周囲にいる人たちは大変だと思う。

希望の党は衆院選の比例区で967万票を獲得している。党勢が衰えたからといって、簡単に投げ出していいはずがない。朝日の指摘は理解するが、論旨の進め方には嫌みがにじんでいる。

「身勝手な幕引きだ」と毎日

16日付の毎日新聞の社説も、見出しに「身勝手さが払えぬ結末だ」と書くなど手厳しい。

冒頭で「一時は注目を集めた『小池劇場』は、野党の『多弱化』を招いただけで主役が舞台を降りた。身勝手な幕引きだといわざるを得ない」と批判する。

さらに「『小池人気』を選挙のときだけ看板に利用した印象は拭えない」とまで批判する。次に毎日社説は小池都政に深刻な影響が出てきている現状を示す。

「小池氏にとってさらに深刻なのは、都議選で選挙協力した公明党が国政挑戦に反発し、都議会与党からの離脱を決めたことだ。先日の東京都葛飾区議選では都民ファーストが立てた候補5人のうち4人が落選した。都知事としても足もとが揺らぎ始め、国政どころではなくなったというのが実情だろう」