約9割が望んでいる「24時間以内の返信」

メールのマナーという観点では、返信のタイミングも重要です。前述の調査によると、「1日(24時間)以内に返信がほしい人」は86.2%。すぐに結論が出せない場合でも、何らかの返信を24時間以内に出しておいたほうが、相手は安心します。

じつは、電話よりメールのほうが、高いビジネススキルを求められます。電話であれば、定型の回答文をマニュアル化しておけば、大抵の問い合わせには対応できます。相手の声のトーンなどからも状況が読み取れます。相手の疑問や不満はその場で解消できますから、互いにストレスが残りません。

しかしメールの場合、落ち着いたやりとりになるため、相手の言葉の裏側まで読み取る能力が必要になります。さらにこちらの言葉に対して、相手がどう反応するかを予測する力も要求されます。

ここで強調したいのは、メールでビジネスのコミュニケーションが取れる人は、どんなツールであっても、うまく扱うことができるということです。基本はメールにあるのです。

「チャット」のデータは引き継ぎも難しい

ただし、最近は電話とメールの中間ともいえる「チャットツール」を仕事の場で使う機会が増えています。私自身、たびたびフェイスブックから仕事上の相談を受けます。また「チャットワーク」などの専用ツールを社内に導入する企業も目立ちます。

メールは原則として「24時間以内」に返信するものでしたが、チャットではよりクイックな返信が期待されています。その意味でも電話に近いツールだといえるでしょう。

私のところにも、「こんな案件があるのですが、興味はありますか」といった“打診”がチャットツールで来ることがあります。その場合、「興味がありますので、“詳細”はメールでお知らせください」という返信を送り、使い分けるようにしています。チャットは気軽で便利なのですが、その一方、細かい案件のやりとりには向いていません。

ひとつは「メッセージがどんどん積み重なる」という仕組みです。メールは案件ごとにまとめられますが、チャットツールは人ごとにまとまります。このため何度もやりとりをしていると、過去の記録がまぎれてしまい、タスクの対応漏れが起こりやすいのです。

また「誤送信」というリスクもあります。メールと違って「アドレス間違い」は起こりませんが、多数の人と同時にやりとりをしていると、勘違いからメッセージを誤って送信してしまうことがあります。

さらにフェイスブックなどのメッセージは「個人対個人のため退職時の扱いが難しい」ということも、理解すべきです。個人のフェイスブックの中にあるデータを破棄してもらったり、その内容を引き継いだりすることは難しいでしょう。