健康に自信があるなら告知・診査を受けて入ったほうが割安
告知なし、あるいは簡単な告知で「誰でも入れる」がウリのシニア向け医療保険(無選択型保険)に人気があるようだ。誰でも入れると言われると、入らなければソンだと感じるのかもしれない。しかし、健康な人は入るほうがソンだ。
通常、保険に加入する際には、保険の種類や保障額によって告知・診査を受け、健康状態を厳しくチェックされる。健康に問題があり、保険金を受け取る可能性の高い人が健康な人と同じ条件で加入するのは不公平だからだ。シニアになれば体に何らかの問題を抱えがちだが、そうすると保険に入りたくても入れないケースも出てくる。そのニーズに目をつけて、健康に自信がない人でも入れるシニア向け医療保険が開発された。
健康に問題がある人が加入するということは、保険会社から見れば保険金支払いの可能性が高くなるということだ。そのため、「無選択型終身保険」の場合、保障額の上限が300万円程度。当初2年の病気死亡は払込保険料相当額が戻ってくるのみ、などの条件でリスクヘッジされているのが一般的。何より、診査・告知を受けての加入より保険料が割高なことに留意したい。カードローンでも借りやすいところのほうが金利は高いように、売り手側がソンしないように考えて設計されているのだ。だから、健康に問題のない人まで飛びつくとソンをする。
表は「無選択型医療保険」あるいは「引受基準緩和型医療保険」の例。保険会社によって商品性に違いがあるので比較はしにくいのだが、やはり当初90日以内の支払い事由発生は給付の対象外、1年以内は給付金・保険金を50%に削減などの条件がついているのが普通である。また、すでに入院・手術を勧められているなどの病気については給付されない。
保険料はいずれも高く、年金生活のなかで払っていくには負担感が大きいと言わざるをえない。アフラックの「やさしいEVER」は簡単な告知が必要な引受基準緩和型なので、無選択型よりは保険料が安くなるが、それでも通常の医療保険「EVER」より7~9割程度高くなっている(「EVER」は月額保険料が入院給付金日額5000円、男性の例で50歳2975円、60歳4175円、70歳5950円)。健康保険制度の内容をよく理解していれば、こんな負担をしてまで医療保険に入らなくてもいいことは理解できよう。健康不安が高まるシニアこそ、医療保険の加入には要注意だ。