「空白」のつくり方がうまい

それでも、それを他人に見せない。ほんとうに、夏休みの小学生のような余裕の表情をしている。実は、ここに創造性の秘密があるのではないかと思う。

世の中には、やたらと忙しがっている人がいる。いつもせわしなく、あっちに行ったりこっちに行ったり。スマートフォンの画面をちらちら見たり、人の話をあまり聞いていなかったり。ところが、そういう方の生み出すもののクオリティが必ずしも高いとは限らない。

脳が創造性を発揮するには、「空白」が必要である。隙間があってこそ、それまでに蓄積されたものが思わぬかたちで結びついて、新たな価値を生み出す。

いつも時間に追われていると、その場の課題は片付けられるかもしれないが、その先に行けない。すぐれた創造性を発揮している人々は「空白」のつくり方がうまいのだろう。

いわゆる「クリエーター」だけでなくビジネスの最前線に立つ方々の中でも、いい仕事をされている方ほど、のんびりとした、空白の時間を上手につくっているように思う。古来、「忙中閑あり」と言うが、そのわずかな「閑」を大きくふくらませることができる人が、いい仕事をされているのである。

どうしたら、忙しい毎日の中で、夏休みの小学生のような、ゆったりとした時間を持つことができるのだろうか?