「育児疲れ」の状態にある母親は少なくありません。しかし、がんばりすぎると、心も体も疲れてしまいます。どうすればいいのか。発達障がいの専門家で、精神科医の西脇俊二氏は「ポジティブな言葉を使うことを心がけてほしい」といいます。西脇氏はその具体例として「グッド&ニュー」というゲームを提案しています。そのやり方をご紹介しましょう――。

※以下は、西脇俊二『発達障がいの「子どもの気持ち」に寄り添う育て方』(日本実業出版社)より一部を再編集したものです。

ポジティブな思考は言葉から

毎日、お母さんは子育てに家事、仕事、人間関係など、家族のことを思って忙しく働いています。とはいえ、がんばりすぎていると心も体も疲れてくるので、ネガティブな思考が生まれやすくなります。

「子育ても家事も仕事も、しっかりこなして充実した毎日を過ごしたい」と思っていても、「なんだか気持ちがもやもやして、うまく切り替えられない」ということはありませんか?

もやもやした気持ちの中では、客観的な判断を下すことができなくなり、必要以上に自分を責め、「どうせ、私なんか……」とネガティブな言葉を自分にかけがちです。毎日のようにネガティブな言葉を自分にかけつづければ、自分が発した言葉に縛られて、モチベーションが低下するのは当然です。

『発達障がいの「子どもの気持ち」に寄り添う育て方』(西脇俊二著・日本実業出版社刊)

結果、子どもや家族に対してもイライラが募り、思いもしない言葉をかけてしまうこともあるのではないでしょうか。

子どもは思っている以上に、お母さんの気持ちを感じています。お母さんがイライラしたり、元気がないと、子どもも安心して過ごすことができません。そのような状態だと、子どもは緊張から普段できることもできなくなり、余計にお母さんの気持ちをかき乱します。

視野が狭くなると、誰でも自分で自分を責めて、日常のいいことにも気づかずに、ネガティブな思考のループにはまりやすいです。

だからこそ、気持ちの切り替えは非常に大事です。言い換えれば、気持ちの切り替え次第でモチベーションは上がり、いかようにでも自分を幸せにすることはできます。

そのためには、まず普段何気なく使っている「言葉」から変えていきましょう。

グッド&ニューをしてみよう

毎日をポジティブな思考で過ごすために、私がおすすめしたい方法は「グッド&ニュー」です。グッド&ニューとは、「よかったこと(グッド)」と「新しい出来事(ニュー)」を、周りと共有するゲームです。

ゲームの方法は簡単です。お母さん同士の集まりなどで、一人1分間、前日の朝起きてから夜寝るまでの間に起きた「よかったこと」や「新しい出来事」を発表するだけです。内容は日常の些細な出来事で構いません。