資産1億円以上が120万~130万人いる
――9500人分の業務をAI(人工知能)などで自動化するとのことだが、その分の行員の職務はどうなるのか。
簡単な事務などはシステム化し、これによって解放される人的資源は顧客と向き合う業務や全体のプランニングをする付加価値の高い職務に回します。僕らの銀行では口座の住所変更といった「届出書」がだいだい年間で800万件ほど顧客から提出され、その7~8割は店頭で処理されています。それを自動化すると店員1人が顧客と向き合う時間が3倍にもなるのです。
実は人はいくらいても足りない。たとえばウェルスマネジメント(顧客の資産運用)。われわれの顧客で背景資産を1億円以上所有する人は、120万~130万人いるとみています。これに対して、運用の相談にのる担当者が2600人ぐらい。全然足りない。富裕層以外も含めた顧客の数は3000万人で、まだまだリーチできていない。自動化でここに人員を向けられるようになるわけです。
――業務効率化などで、国内の支店は減るのか。
日本の人口は減っているので、マクロでいえば「減る」という方向だと思います。必要であれば統廃合も考えていく。ただ、9500人分の仕事が自動化で減り、支店はいらなくなるというほど単純ではない。支店のあり方については事務をやる場所から、顧客ともっと向き合って、お話をさせていただく場所に変わっていくかもしれません。
アメリカでは、(最大手の)バンク・オブ・アメリカなどが都市部で支店を増やしている。ただ支店の形が全然違う。コンサルテーションが中心です。日本でも、いまと同じように各支店が目抜き通りの一等地にある、という形ではなくなるかもしれない。支店の数ということでは、ひょっとしたら増えていくかもしれません。