ひとつの狙いは「窓口の混雑緩和」だ。「券売機の数などを減らす予定はない」(JR東海)と説明しているが、スマートフォンを使ってチケットレス乗車をする人が増えれば、多くの券売機は不要になるだろう。
何度でも無料で、時間や座席を変更できる
特にiPhoneなどで「モバイルSuica」を利用している場合、券売機にカードを入れられないため、これまでは出場処理のためだけに窓口で手続きが必要だった。スマートフォンの利用者が増え続けているなかで、「窓口を使わずに済む」というのは、JRと利用者の双方にとってメリットが大きいはずだ。
また、新幹線の指定席特急券は、JR各社の取り決めで、時間変更は1回しかできなかった。2回目以降の時間変更では払い戻しが必要で、手数料がかかる。だが「スマートEX」は、改札を通過する前であれば、何度でも時間や座席を変更できる。はやく駅に着けば、1本早めることができるし、みやげ物を買いたいのであれば、何本か遅くすればいい。すでに「エクスプレス予約」では提供していたサービスだが、経験上、これは非常に利便性が高い。
もうひとつは「インバウンドへの対応」だ。現状、新幹線の予約は「駅の窓口」が基本になっているため、訪日観光客にはハードルが高い。JR東海では、年内をめどに海外向けの英語版アプリをリリース予定という。アプリを利用すれば、新幹線の座席予約を海外で済ませ、チケットレスで乗車できることになり、利便性は大きく向上する。もちろん窓口の負担も減るだろう。
JR東海・西日本が満を持してリリースした新しいチケットレスサービス。狙い通りに普及するかどうか。その成否に注目が集まっている。