生命保険の代理店を兼営するFPは、販売した生命保険のおよそ1年分くらいの保険料の報酬を得ることが多いようです。証券仲介業を営むFPは商品の販売手数料の6割以上を得る場合が多い。内外の証券会社の正社員よりも、稼ぎに対する取り分の比率は大きく、「普通の証券セールスよりも危険な証券マン」かも知れません。不動産の購入で物件を紹介して、不動産業者から紹介した物件の1~3%くらいの謝礼を受け取るFPもいます。

相談すべき相手は「非販売系FP」

いずれも小さくない収入になり、一度手を染めると抜け出しにくいのが実情です。そして、メディアで名前が売れているような有名FPでも、これらのいずれかに手を出している場合が少なくありません。

FPには、商品を販売することのある「販売系FP」と、純粋に相談料だけを報酬とする「非販売系FP」の2種類があると考えてください。もちろん、相談すべき相手は「非販売系FP」の方です。

日本では、対価(相談料)を払って専門家に相談するやり方が根付いていないのが現実ですが、クリーンなFPに払う相談料は、例えば相談1時間当たり1~2万円くらいのものですが、相談料よりもずっと大きな改善効果が得られる場合が少なくありません。金融機関に「無料相談」するよりも、はるかに安全で効果的です。

「商品を販売する可能性のある人に、相談してはいけない」。少々考えると分かりそうな話なのですが、案外守られていない「常識」です。

高齢者も若い人も、買うべき商品は同じ

『マンガで解説!将来、お金に困らない方法を教えてください!』は、現役世代の夫婦が将来に備えてお金について考え直す物語です。現実にお金をたくさん持っているのは高齢者ですし、高齢になってからのお金の運用は大変重要な問題です。筆者が、親の知人など高齢者のお金の相談を受けてみてしばしば思うのは、「セールス」という行為の絶大な威力です。お金を持っている高齢者はたいてい、銀行や証券会社などの担当者のことを「人として」信じていて、商品について詳しいことは分からないが、自分の「人を見る目」は間違っていないと思っている場合がほとんどです。そして、「真面目な子なので、信用している」、「悪い物は勧めないと思った」などと言いながら、毎月分配型の投資信託や貯蓄性の生命保険など100%ダメだと言うしかない投資商品を保有しています。

高齢の経営者などにもよくあることですが、人間のよし・あしで(実際は単なる好き・嫌いに過ぎませんが)物事を判断できると思い込むようになると、その人は「老いて」おり、危険な状態です。

以下、高齢者の資産運用で大事なポイントを3つ挙げます。