高額な医療費が家計圧迫「でも、やめられないんです」
お金持ち以外に、健康保険の対象にならない先進医療や自由診療を選択する患者にはどんな人がいるのか。
●収入や貯蓄がなくても、「ブランド病院の有名医師の治療を受けたい!」と遠方から通院する人(付添人を含む交通費や宿泊費などがかなり高くつく)。
●がんに関する雑誌の記事か書籍の影響なのか、かたくなに「抗がん剤治療はやらないと決めている!」と主張し、高額な補完代替医療を選ぶ人。
●医師から予後が良いからと勧められ、全額自己負担で抗がん剤治療を一生続けるという人。
筆者は医療者ではないので、相談者がこれらの治療法を選択しても、その是非をアドバスすることはできない。ただ、これら高額な医療費が家計を圧迫していることが明らかなのに、「それだけは、やめられないんです」と言われるとどうしようもない。
▼乳がんの治療費捻出のために金融商品を運用?
もちろん、筆者自身もサバイバーなので、治療法の選択を後悔したくない、自分が考える最高の医療を受けたいというお気持ちは十二分に理解できる。
しかし、FPの立場からすると、もろ手を挙げて賛成というわけにはいかない。
「何とかなりませんか?」とご相談にいらっしゃるが、FPは魔法使いではない。魔法の杖をひと振りすれば、すばらしい解決策が飛び出すと思ったら大間違い。多くの場合、その改善方法は何らかの“痛み”を伴う。
ガマンして膨らみがちな支出項目を抑えるか、治療の副作用に耐えながら、なんとか働いて収入をふやすか、リスクを覚悟しながら金融商品を運用して収益を狙うか、疎遠になっている親・きょうだい・親類に懇願して援助してもらうか、など。