“うさんくさい”健康食品やサプリにも手を出した
病院での治療費以外にも、健康食品やサプリメントなどにお金を費やすがん患者は少なくない。それが前述の(3)のカテゴリーに分類される費用である。(1)が罹患後、年々減少傾向にあるのに対して、逆に経過年数ごとに増えていうという厄介な費用である。この費用をあらかじめ想定できる患者はほとんどいない。
5年前に乳がん告知を受けた都内在住のB子さん(50代)もこれらにお金をかけているひとり。B子さんは、高校の養護教諭をしているというだけあって、ある程度の医療知識はお持ちだ。
「がん告知を受ける前は、はっきり言って補完代替医療なんて“うさんくさい”と思っていたんですよ。でも、自分がこれだけはまるとは想像もしていませんでした」
現在もホルモン治療を継続しているため、QOL(生活の質)を向上させるという名目で、さまざまな健康法や健康食品、サプリメントを利用しており、その知識には舌を巻く。
「現在は、別の疾病で休業中なので、月3万円くらいに抑えていますが、これまでどれだけお金を費やしたか……想像すらしたくありません(苦笑)」
▼がん罹患者が専業主婦なら、家事代行サービスの出費も
このほか、がん罹患者が専業主婦の場合で、炊事、掃除、洗濯や育児、介護などをすべて担っていた場合は余分なコストがかかる可能性が高い。入院中はもちろん、退院後や治療の副作用がひどい間など、代わりに家事をやってくれる人を探すか、家事代行サービスなどを利用するしかない。
アウトソーシングはありがたいが、お金は確実にかかる。しかも安いとは言えない。
ならば、と配偶者やパートナーにヘルプをお願いしたらどうか。「体調が悪いから代わりに食事作ってもらえない?」。最近は料理の腕がある男性やキレイ好きで掃除をこまめにする男性は増えている。しかし、そうではないケースのほうがまだ断然多いのではないか。
「やったことからできないよ。そんなの怠けてるだけじゃないの?」
心無い言葉を浴びせかけられ、家族やパートナーとの関係性が悪化したがん患者も多い。
がん患者の家族や恋人がみな、マスコミなどで報道される芸能人のように献身的で細やかな気遣いと優しさにあふれているとは限らない。がんをきっかけに家族の絆が深まることもあれば、逆に、大きな溝ができることもある。それが現実だ。