「スタバは面倒」の消費者心理

1996年に日本1号店がオープンしたスタバを、筆者は「日本のカフェ文化を変えた黒船」として評価している。ただ、最近気になるのは、以前に比べて「積極的に利用する」と話す声が少なくなったことだ。

たとえば、独特のメニューを「わかりづらい」と話す人は、現在でも一定数いる。スタバのメニューには「ブレンド」も「ホットコーヒー」もない。代わりにあるのは「ドリップコーヒー」だ。愛用者にとっては常識だが、年配客のなかには、開業後20年たつ現在でも「なじめない」という人が少なくない。以前、団塊世代と一緒に店に入ったところ、「利用したことがないので、どう頼めばよいかわからない」と言われた。

茨城ではサイズも「大中小」

学生時代に3年間、スタバでアルバイトをした経験があるという20代前半の女性(IT企業勤務)はこう語る。

「茨城県の店舗で働いていたので、地元の年配のお客さまは『ショート、トール、グランデ、ベンティ』というサイズの名称がわからない方が多かったです。そこで『ドリンクの大きさは、大・中・小のどちらにされますか?』と聞いていました」

また、「カフェ好き」だという40代女性(美容室勤務)は、こんな感想を述べた。

「ドトール、タリーズ、カフェ・ベローチェは月1~2回の割合で行きますが、スタバは年に1~2回程度になってしまいました。以前は楽しめましたが、最近は『別にスタバでなくてもいい』と思うので。テイクアウトなら100円でコンビニのコーヒーが買えますし、そこそこおいしいですから。1杯100円と300円の価格差は大きいですね」

セブンは年間10億杯の見込み

(上)コンビニコーヒーとパン(下)コンビニ店内の自動抽出器

最大手セブン-イレブンの「セブンカフェ」は、2017年度に10億杯の販売を見込んでいる。コンビニコーヒーはもはや社会インフラになったといえるだろう。イートインのできる店も増えており、 “止まり木感覚”で利用しているお客が多いようだ。

13年に各社が相次いで参入した当時は「コンビニコーヒーに駆逐されるのはどこか?」といわれた。当時の予想よりも、カフェとコンビニコーヒーは共存できていると感じるが、それでもカフェの売り上げにはボディブローのように効いている。

それにコンビニコーヒーであれば、自分で自動抽出器にセットしてボタンを押すだけ。店員からコーヒーを渡されるのを待つ必要もない。カフェは面倒で、コンビニは気がラク、という受け止め方もあるようだ。