プロセスの狙いを把握する

ふたつ目の理由は、調理プロセスの目的を考える人がいなかったから。自分がいま行っていることが何のための作業なのかを把握できるようになると、カレーを作る実力は格段に上がります。

たとえば、「玉ねぎを中火で10分間、きつね色になるまで炒める」とレシピにあったとします。ほとんどの人は、書かれた通りに中火で10分間炒めます。仕上がりの色はちょっと薄いきつね色だったとする。「きつね色にならないなぁ」と首を傾げたり、「こんなものなのかな」と自分を納得させたりして進む。これを繰り返した結果、カレーがいまいちおいしくなかったら、「このレシピ、自分に合わないな」と諦める。

そうじゃないんです。玉ねぎを中火で10分炒めることが大事なわけではない。そのプロセスの狙いは、玉ねぎの水分を飛ばし、甘味と香味、うま味を引き立てること。それが目的であり、そのための手段が「中火で10分」です。これを把握できているのといないのとでは大違い。

なんのためにそれをやるのか

『いちばんおいしい家カレーをつくる』水野仁輔著(プレジデント社刊)

多くのレシピは、手段は書かれているけれど目的が書かれていません。拙著『いちばんおいしい家カレーをつくる』(プレジデント社)では、すべてのプロセスに「なんのためにそれをやるのか」を解説しています。

たとえば、みなさんの仕事などでも同じことを感じませんか? 上司から「これやっといて」と言われたことを意味も分からず作業するとうまくいかない。「こういうことをしたいから、そのためにこれやっといて」と言われたら、期待に応えられそうな気がしませんか? できる人なら指示された内容とは別の手段で目的を果たすかもしれない。カレーの調理も同じことです。