「仕事」に人生を占拠されないよう隠れ家にこもる

彼は、偉大な「タイプ論」や「ユング心理学」の体系をつくるために、一人で深く内省する時間と、カウンセリングや大学の講義という人と交わる時間を区別し、高度に人生に同居させたのです。内省と臨床の2つがあったからこそ、血の通った心理学理論を完成させることができたのでしょう。

カウンセリングや講義・交流に明け暮れると、それだけで1年は大忙しです。著名な彼のもとには、助けを求める患者、教えを請う人が絶えることなく訪れていたはずです。この時間は重要と考えながらも、すべてがこの時間に人生を占拠されないように、また深い理論体系を作り上げるために「隠れ家」に引きこもったのです。

ユングタイム=隔絶された時間が人生を変える

この隔絶された時間をユングは意図して作った。これを、私は「ユングタイム」と呼びたいと思います。

さて、ユングの時間の使い方に感銘を受けた私もそれを取り入れています。

午前中をその「ユングタイム」に充てています。これは本の執筆・連載など、新しいものを生み出す時間。ユングが隠れ家にこもったように、私は午前中という時間は他の仕事を一切遮断するのです。

そして午後は、習慣化コンサルタントとしてビジネスパーソンなどのクライアントと面会したり、他の専門家と会ってプロジェクトのやりとりをしたり、対外的なオペレーティブワークをしています。

この2つのモードを午前・午後で分けることで、すごく充実感が高まり、時間をより効率的に使うことができるようになりました。