経営陣刷新で「踊り場」脱出できるか

パナソニックが経営体制に大ナタを振るう。津賀一宏社長が取り組んだ大規模リストラにより経営は健全化したとはいえ、足元の業績は「踊り場」に踏みとどまり、次の成長に向けた力強さは感じられない。

そこで打ち出した経営陣の刷新は、再び成長軌道に乗せるための起爆剤に受け取れる。象徴するのは4月1日付で専務執行役に迎え入れた日本マイクロソフトの樋口泰行執行役会長の起用であり、6月29日付で代表取締役に据える。そこには「プロ経営者」という外部の血の流入により、新たな「津賀改革」に弾みをつけたい意向がにじみ出る。

今回の経営陣刷新は樋口氏の起用を抜きにしても、パナソニックにとって大きな変革に違いない。代表取締役を11人から4人に、取締役は17人を12人にそれぞれ大幅に絞り込むからだ。長栄周作会長や創業家出身の松下正幸副会長の代表権が外れることでも、その経営変革に対する覚悟がうかがえる。同時に、チーフオフィサー制度を導入し、6月29日付で津賀社長が最高経営責任者(CEO)に就く。

経営陣刷新の狙いについて、同社は「コーポレートガバナンス(企業統治)の強化に向け、取締役会の透明性、客観性を高め、経営のより一層のスピードアップを図る」としている。一方、これまでの役員の呼称を執行役員に改め、グループ経営執行を執行役員主体に切り替える。2012年に就任した津賀社長による事業構造改革は、巨額投資したプラズマパネル事業からの撤退に踏み切ったのをはじめ、事業の選択と集中を加速した結果、確かにどん底にあった同社をV字回復に導いた。