昨今、多方面で話題となっている「ブラック部活」に関するニュース。ブラック部活で「スポ根」を体得した学生は、ブラック企業でも根をあげずに働くため、「ブラック部活はブラック企業に通じる」といった声も聞こえてきます。
一方で、「ブラック部活」とは相反するシステムで結果を出している教育現場もあります。言うなれば「ホワイト部活」といったところでしょうか。このホワイト部活で日々過ごし、かつ、そのスタイルで結果を残してきた若者が入社してきたら……、今回は、そんな「部活動の最前線」について探ってみました。

先生も生徒も疲弊している「ブラック部活」

まずは「ブラック部活」について。質よりも量を重視する日本の部活動。量が増えると必然的に拘束時間が長くなります。そんな体制に、先生も生徒も疲弊しているのです。

教師という仕事は、ただでさえ忙しいにも関わらず、半ば強制的に部活動の顧問を任されるケースが多いといいます。そうなると、平日は遅くまで生徒を見守る必要がありますし、土日や祝日の多くが部活動に取られてしまいます。本業の授業や学級運営に影響が出ることもあるでしょう。

生徒にとっても、長時間の拘束は大変です。今年に入って「この部活は長すぎる!」と、ブラック練習を変えさせた父親のエピソードがネットで話題となりました。中学生の娘が部活動の練習に長時間拘束され、そのせいで帰宅後は疲れ果てて寝てしまい、宿題などは深夜に起き出してすることに。健全な成長を願う親としては黙っていることができず、学校側に調整を申し出たのです。

こうした状況の根底にあるのは、「より長時間、より厳しい環境でトレーニングをすれば心身ともに鍛えられ、成果を出せる」という昔ながらの考え方でしょう。

しかし、最近では「ブラック部活」のように長時間拘束をするのではなく、公私のバランスを取りながら結果を出すチームが出てきています。

たとえば、昨年度の全国高校サッカー選手権大会で準優勝のサプライズを起こした、東京都代表の国学院久我山高校。準々決勝で本年度の準優勝チーム・前橋育英、準決勝で本年度の優勝チーム・青森山田高校を撃破しました。決勝戦では強豪・東福岡に敗れたものの、笑顔でプレイする彼らは、ある意味、大会の主人公でもありました。

そんな国学院久我山高校には「ブラック部活」とはほど遠い、ある特徴があるのです。

高いレベルでの文武両道を目指す同校。サッカー部のAチームに所属する20人ほどの生徒を見ても、10人以上が早稲田・慶応狙いだそう。サッカーだけに打ち込むのではなく、しっかり勉強もしなくてはいけません。そのため、全国大会に出場するようなサッカー部であっても、1日2時間以上の練習は禁止。そして、朝練や居残りの練習は無し。放課後の2時間のみがチームの活動時間となるのです。