――それほど悲観的な展望のもと、どのような市場に投資しているのですか。
私は現在、日本株を買い増してはいませんが、保有しています。日本にはもっと成長してほしい。ロシアへの投資は増やすかもしれません。ロシアは油田を豊富に持つ産油国なので、原油価格が底を打ったことも好材料です。
数年前、ロシアの株式市場は世界でもっとも嫌われていました。今でも叩かれていますが、トランプ氏やフィリピンのドゥテルテ大統領など、プーチン大統領を支持するリーダーが現れました。フランスでも、プーチン大統領と親しい候補者が大統領に選ばれる可能性が高まってきました。ノルウェーとフィンランドも、ロシアとの外交関係を改善させています。
私はルーブル建てのロシア国債を、つい先日買い増したばかりです。ロシア企業の株については、自分が興味を持てそうな株が妥当な価格で買えるのであれば、積極的に投資しようと思うかもしれません。
世界に安泰な株があるとすれば、それは中国の鉄道企業の株でしょう。中国は「一帯一路」(中国と欧州、アジア諸国を結ぶ経済圏の建設)を提唱していて、インフラ投資に多額の資金を注ぎ込んでいます。また、大気汚染問題の解決にも大金を投じて本気で取り組んでいるので、こうした関連の企業も有望株です。同様に、医療関連株にも期待できます。中国の医療は大幅に改善されなければなりませんから、この分野への投資も大幅に増えています。
――OPEC(石油輸出国機構)が減産に合意したことで、価格の上昇が見込まれている原油市場についてはどう思われますか。
私自身は、OPECの動向には注目していません。加盟国は合意を守らなかったり、発言を撤回したり、互いを欺いたりすることを繰り返してきたので、今回の宣言についても、実際のところはどうなるかわかりません。
OPECがほんとうに減産するかどうかに関係なく、市場はすでに供給量を減らしています。米国のシェール石油業界は生産コストが高すぎて採算が合わず、生産をやめるところが続出しているので、減産が続いています。原油価格は“複雑な動きをする底値”を打って、今後1、2年間は1バレルあたり40~60ドルで推移するでしょう。