「空売り」の技術を身につけるべき

――世界経済が深刻な危機に突入していくのであれば、今後はどのようなものに投資するのが賢明でしょうか。

あくまでも、自分が十分に知識を持っている分野にのみ、投資すべきです。私が有望だと言ったからといって、ロシアや中国の事情に詳しくない人がそれらの市場に投資すべきではありません。

私自身は米ドルを大量に保有していますし、米国株の空売りもします。過去数年、ロシアへの投資はとてもうまくいっているので、今後も続けるつもりです。中国については今後どのようなことが起ころうとも、先ほどお話しした業界の株は買ったほうがいい。

そしてなによりも、空売りのテクニックを身につけることが大切です。これから数年のあいだ、世界経済は悲惨な状況に向かっていくので、破綻するところが増えるでしょう。そのような状況で大きく儲けることができるのは、空売りができる人だけです。

何か悲惨なことが起きたらすぐに反応してそのとき買えるものをすべて買う。たとえば金の価格は最近大幅に下落しました。今のところ、私はまだ金を買っていませんが、もし1オンスあたり1000ドルを下回ったら――この業界で働く人にとって悲惨な状況ですが――大量に買い増すつもりです。

――新興国市場はいかがでしょうか。

コロンビアはいいですね。半世紀以上も続いた内戦を終結させる和平協定が、コロンビア政府と反政府組織のあいだで結ばれたばかりです。歴史を紐解くと、内戦や戦争が終結したあとには、そこに大きなチャンスがあります。たとえば戦後の日本に投資した人は、大金持ちになったことでしょう。

コロンビアでは、長年犯罪の温床となっていた大麻の栽培が合法化されました。米国でも、先の大統領選と同時に合法化を問う国民投票が9つの州で行われ、うち8州で賛成が反対を上回りました。このことによって、米国の半数以上の州で大麻の栽培や嗜好品としての使用が合法化されたことになります。欧州では多くの国ですでに合法化されていますし、カナダも時間の問題でしょう。ですから、大麻を扱っている企業の株を買うといいですよ。ただし自分で栽培するのは、日本のみなさんや私が住んでいるシンガポールでは、刑務所行きになってしまうので、絶対にやめたほうがいいですね。

ジム・ロジャーズ
1942年、米国生まれ。イェール大学卒業後、オックスフォード大学ベリオールカレッジ修了。ジョージ・ソロスと国際投資会社クォンタム・ファンドを共同設立、10年間で4000%超のリターンを実現。『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』など著書多数。
 
(ライター原賀真紀子=インタビュー、構成 澁谷高晴=撮影)
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