時間を買う経営者、寝られない平社員
経営者といわゆる「平社員」の間には、どんな違いがあるのか。「経営者は朝型の人が多いです」と教えてくれたのは、ソニー生命保険でライフプランナーとして活躍し、これまでに100社以上の法人と契約を結んできた藤田英司氏だ。保険商品を売るだけでなく、事業のコンサルティングも行うため、経営者との結びつきも深い。
「朝型か夜型か」という問いを見ると、全体として経営者に朝型の割合が高く、年収1000万円以上の経営者と社員の約7割が「朝型」と回答している。
「朝早く出社すると、出すべき指示を出し終えた状態でスタッフを待つことができます。年収が高い人は仕事量も多いもの。彼らも若い頃は無茶をして、夜型の生活もしたうえで、効率を考えて朝型を選んだのでしょう。また、彼らは『時間をお金で買う』という感覚が身についているので、電車で1時間の距離をタクシーを使って30分で移動したりもします。『平日の睡眠時間』は、経営者が平均6.1時間、社員は平均5.8時間と、忙しいはずの経営者のほうが長めです。これは、パフォーマンスへの意識の高さと、タイムマネジメントの賜物でしょう」
藤田氏は、世界基準をクリアした生命保険・金融サービスの専門職で構成されるMDRTの終身会員である、トップクラスのライフプランナーだ。経営者のよき伴走者となるため、自身も朝5時起きの生活を続けているという。
「『リタイア後、何をして過ごすか』という問いでは3位ですが、経営者にはスポーツ好きも多いですね。人生を充実させるには体が資本で、健康はお金で買えないことを知っているからです。私も毎月、『ラン・アンド・ドリンク』という経営者の集まりに参加しています。数キロ走ったあとは、食事をとりながら情報交換タイム。ビジネス上関係なさそうな相手ともつながろうとするのも、経営者の特徴です。ビジネスを広げていくためには社内人脈だけでは限界がありますし、普段ふれ合わない業界の人の話が刺激になり、新しいビジネスのヒントになることもあるからです」
藤田氏の言うとおり、「ビジネスにおける人脈の広げ方」では、経営者が異業種交流会や勉強会など社外の人脈づくりに積極的であることがわかる。それに対して社員は社内の人脈づくりに熱心で、半数近くの人が人脈づくりを意識していないと答えている。視野の広さの違いが浮き彫りになった。
「特にベンチャー企業の社長には京セラの稲盛和夫さんのファンが多く、盛和塾に入っている方も多いんです。どのように会社を育てていくか迷ったとき、創業社長である稲盛さんの『フィロソフィ』という人生哲学がしっくりくるのだと思います」
稲盛氏は、「『理想の経営者』として思い浮かぶ日本人」4位にランクインしている。