高値掴みしない効率的な投資
日本電産シバウラの再建を通して感じたのは、永守社長の買収先の会社を見る眼力の確かさである。その会社の経営状態を持ち前の鋭い勘で読み、1年後の業績を見通しているとしか思えない。これまで日本電産は、国内外で約40社を買収してきたが、そのどれもが成功しているのも当然かもしれない。成功しているどころか、本体以外の各社から20品目に達する世界一製品が生まれているのだ。
しかも、日本電産の事業とのシナジー効果さえ発揮するわけだから見事だ。いわば高値掴みはしない、非常に効率的な投資ということができる。それは文字どおり、時間を買ったことでもあり、永守流のM&Aは“時は金なり”の実践にほかならない。
(構成=岡村繁雄 撮影=宇佐美雅浩)