心に影響する血糖値のアップダウンのメカニズムを知る
私たちが生きていくために必要なエネルギーは、脂質、糖質、たんぱく質の3大栄養素からつくられる。
ざっくりと各栄養素の特徴をおさらいしておくと、通常時の活動の主なエネルギー源は脂質。小腸で吸収されたあと、肝臓を経由することなく全身の細胞に運ばれ、ダイレクトにエネルギー源となる。利用されなかったものは中性脂肪として脂肪細胞に貯蓄される。脂質は、糖質、たんぱく質の2倍以上、と効率のいいエネルギーでもある。
「摂りすぎは注意が必要ですが、脂肪=太る=悪といった単純な考えは間違いです。脂質には細胞膜をつくるという重要な役割もあります」
次に糖質は消化吸収されると、肝臓に運ばれ蓄えられるとともに、その多くは筋肉に貯蔵される。血糖値を調節しているのが肝臓。血糖値が高くなると糖(グルコース)を肝臓に取り込んでグリコーゲンとして蓄積し、逆に血糖値が低くなるとグルコースを血液中に放出して、血糖値を安定させる。
筋肉に蓄えられたグリコーゲンは、血糖調節にはかかわらず、筋肉を働かせるエネルギーのみに使われる。
「糖質は脂質と較べると、同じ酸素を使ってエネルギーを生み出す場合、10%ほど多くのエネルギーが産生されます。つまり、非常時に瞬発力を出すためのエネルギーです」
3つ目のたんぱく質の本来の役割は骨や筋肉、皮膚や内臓など私たちの体を構成する材料の供給だ。ホルモンや神経伝達物質の重要な材料でもある。エネルギー源としてはやや特殊で、エネルギー需要に対して食事だけでは足りなくなったときに、体のたんぱく質を分解してエネルギーとなる。
「本来、人の体は3分の2を脂肪から、残りを糖質からのエネルギーに依存しているのですが、現代はご飯、パンをはじめ、糖質が主になっています」