小売り主要3事業は歴史的な変革期
セブン&アイはさらに踏み込んだ。井阪社長は10日6日、H2Oと資本・業務提携し、そごう神戸店(神戸市)、西武高槻店(大阪市高槻市)、そごう西神店(神戸市)の3店舗を譲渡すると発表した。再び構造不況に見舞われる百貨店事業で「選択と集中という新しい軸」(井阪社長)を経営に採り入れる姿勢を打ち出し、2005年前後に起きた百貨店の合従連衡の再来をも想起させた。
半面、米投資ファンド、サード・ポイントによる百貨店事業のグループからの全面切り離しの要求とはほど遠い。さらに、祖業の総合スーパー、イトーヨーカ堂の閉鎖店舗も40店舗と従来計画から踏み込まず、聖域なき構造改革は道半ばとの印象は拭えなかった。ライバルのイオンも総合スーパー事業の不振で3~8月期決算は7年ぶりの最終赤字に陥り、「買うものがない」と消費者からそっぽを向かれた総合スーパー事業の立て直しは一筋縄でいかない。
一方、コンビニ事業は、9月にファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合して誕生したユニー・ファミリーマートホールディングスが国内コンビニ第2位に浮上し、店舗数でセブン-イレブンを追い上げる。また、3位に落ちたローソンは9月に筆頭株主である三菱商事がてこ入れのため子会社とすると発表し、「セブン-イレブン包囲網」を形成しつつあり、王者といえども決して安泰とは言い切れない。
小売りの主要3事業が揃って激変に見舞われる流通業界は、その意味で、歴史的な変革期を迎えており、生き残りに向けて待ったなしの引き返せない道を歩み出したと言えそうだ。
(撮影=宇佐美利明)