流れた悔し涙に周囲も自分も仰天
オリックス水族館で広報チーム長を務める山本かおる氏は、そんな企業風土を象徴的に表すエピソードを紹介してくれた。
入社4年目に配属されたオリックス不動産でのこと。20代半ばにして、いきなり大阪支店初のタワーマンション建設という大型物件のプロジェクトリーダーを任された。企画から営業、販売までマンション販売のプロセスを学べる絶好の機会と積極的に取り組んだが、経験が乏しかったこともあり苦労の連続だった。
あるとき、どうしてもうまくいかず職場で悔し涙を流してしまったことがある。
「そのとき『山本は女だったんだ!』と周囲がビックリしてしまい、それを見て自分自身も驚いてしまいました」
プロジェクトリーダーの職責の前では、男性か女性かはまったく意味がない。周囲が性別を意識していなかったと同時に、山本氏自身もそういう意識を持っていなかったのだ。
「オリックスはいい意味で放任主義のようなところがあると思います。少しハードルの高いミッションを与えられて、それに対して成果を挙げることができれば、きちんと評価もしてもらえます」
それは逆に言えば、「女性だから」というのが言い訳にならない環境ともいえる。山本氏自身もそのことを強く感じるようになった。