「特に当時の不動産業界は男社会の色合いが濃く、女性であることがともすればネガティブに働きがち。周囲がそんな状況だからこそ、自分が『女性だから』と思うのは逃げになってしまうと、あきらめずに取り組みました」
そんなときに心強かったのが職場の女性の先輩の姿。同じような境遇をいかに打開していけばいいのか、ある意味で自分の指針になるような存在だった。
それは今後経験するであろう、結婚・出産・育児を経て仕事を続けていくうえでのロールモデルでもある。その常にあきらめない意識は、オリックスがグループで運営する京都水族館・すみだ水族館の広報責任者で、副支配人というマネジャー職にある現在も変わらないという。
上司の一言に背中を押され管理職を目指す
女性が結婚・出産・育児を経ても働き続けるうえで、実際にさまざまなスタイルで仕事を続ける女性のロールモデルがあるというのは重要なポイントとなる。オリックスグループもその点には注力しており、実際にグループ内の随所で目にすることができる。
オリックス自動車で個人向けの自動車リース販売を手がけるマイカーデスク第二課で課長を務める岩瀬由夏子氏と同課主任の小川まりえ氏も同じような関係性にある。
岩瀬氏が入社したのは1997年。就職氷河期の当時、オリックス自動車の総合職62人の新入社員のうち58人が女性だったという。
ただし、働き続けるうちに、女性だから採用されたわけではないことに気付いた。現在の業務内容は、ウェブサイトなどを見て問い合わせをしてきたお客さまに対して、自動車リースの仕組みをわかりやすく紹介し成約へとつなげる、いわばインバウンド型の営業だ。そこで求められる適性として、こまやかな気遣いが必須だったのだ。