地震の前に起きる先行現象を観測する

地震の前に現れる前兆現象は2種類ある。1つは震源から直接的に放射される電磁ノイズで、様々な周波数で発生する。もう1つは人工的な電波を活用することで、その伝搬異常を抽出する大気の乱れや電離層の乱れである。

前者は割り箸のパチッパチッによる発電メカニズムにより震源から電磁ノイズが発せられるもの。後者は地下数十キロメートルでの震源での何らかの原因により、高度100キロメートルにある電離層まで影響を与えるものである。

「この地震が起こる前の先行現象を捉えることで、地震を予知することができる」と早川氏は話す。最もはっきりしているのは前述した電離層の乱れで、地震の先行現象として一番敏感だという。人工的VLF電波による電離層(下部)の乱れが、10年ほどの観測データに基づいて地震、とりわけマグニチュード5以上で震源の浅い地震との因果関係があることがわかっている。

実際、「東日本大震災の前兆として、2011年3月5日、6日の両日に渡って極めて強いVLF伝搬異常があった。これまで電離層(下部)の観測に基づいて予知した地震のうち65~70%が的中している」(早川氏)という。

早川氏の地震予知理論を基にして誕生したのが、IT企業のテンダが提供するインターネットサービス「予知するアンテナ」。電離層(下部)の観測に加え、地圏の観測と大気圏の観測、地表の観測、電離層(上部)の観測といった複数の観測手法を用いて地震の予知を行うもので、世界初の複合観測による地震予知サービスである。会員には週2回、地震予測情報が送られてくる。マグニチュード5以上で震度が大きくなる地震が予知の対象となる。観測エリアは関東地方を中心とした1都13県である。今後観測エリアを拡大していくという。また、全国各地の災害情報や地震規模に合わせた防災グッズの紹介、防災・減災に役立つ情報なども提供される。