「16年採用のスケジュールの変更は、就活を後ろ倒しにすることで『学生を学業に専念させたい』『多くの学生を留学させたい(留学しても就活に影響がないスケジュールを組みたい)』という政府の意向を汲んだものでした。いつの時代も企業はできるだけ早く学生と接点を持ち、優秀な学生を採用したいと思っています。そこで、選考解禁前に『インターンシップ』に注力するのが最近の流れ。12年採用時には1909社だったインターンシップ実施企業(大手インターンシップサイト掲載企業数)は、18年採用時には8508社にまで増えています。

一方、政府も入社後3年で3割が退職している現状を鑑みて、多くの企業でインターンシップを行い、入社後のミスマッチを避けたいと考えています。そのため、インターンシップで得た学生情報を採用に使用することが話し合われています。早ければ導入は19年採用から」(谷出氏)

谷出氏によれば、就業体験をさせる従来のインターンシップではなく、会社説明会に近い内容も多いという。「ワンデーインターンシップ」などと呼び、セミナーを行うだけのものもある。そのため、インターンシップで早期退職者数が減少するかは疑問だ。さらにこれから多くの混乱が起きる。

「インターンシップが選考に利用されるようになれば、3年生どころか1年生から内定を出すこともできます。すると、企業は実質的に1年中採用の門戸を開くことになり、日本的な『新卒一括採用』という仕組みが崩れるでしょう。そうなれば、企業が独自に設けた一定の基準を超える者だけを随時採用することになるため、能力的に下位の学生は内定をとりづらくなります。ワークスタイルの多様化が叫ばれる今、一括採用はたしかに旧時代的。ですが、卒業後即就職という目安すらなくなると、ズルズルと就職しない学生も増える恐れがあります」(谷出氏)

この先就活は、どう変わっていくのだろうか。

谷出正直
エン・ジャパンで新卒採用支援事業に約11年間携わった後、独立。採用コンサルティングやセミナー講師、勉強会の主宰、メルマガの配信などで、採用情報の発信を行う。
(大橋昭一=図版作成)
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