台湾での現地生産と海外市場への進出

同社の海外進出は1998年のアメリカに始まり、日系の代理店を通じてロサンゼルス・サンフランシスコなどの西海岸にある中国系と韓国系スーパーへの卸売りからスタートした。この販路の選択は、どらやきの想定顧客を「あんこを食べる食習慣がある東洋系アメリカ人」に絞り込んだからだ。

当初は冷凍と解凍がうまくいかないなどの問題が続き、進出後4~5年は赤字が続いた。試行錯誤の結果、現在では-22度~-25度の冷凍コンテナで運び、およそ2週間かけて完全に凍らせ、現地で陸揚げ後、5度から10度で約1カ月かけて解凍し、その後冷蔵庫で1カ月かけて常温に戻すと2カ月の賞味期限が維持できるという独自のノウハウに昇華させた。

食経験がない海外の顧客には店頭で試食販売を行い、3年目に1億円の売り上げを達成。同時に品質も向上させ、同社の海外展開の中でもトップの市場に成長させた。

アメリカでの成功を基に、イギリスとアジアに進出。イギリスでは流通業大手のテスコの全店で採用され、現地の回転寿司店のメニューにも採用された。

アジアでは2011年に上海に販社「丸京貿易上海有限公司」、続いて2012年に台湾に「台湾丸京製菓股●有限公司」(●=にんべんに分)を設立。生産委託契約を結んだ現地製餡メーカーの工場で、どらやきの量産を開始し、氷温倉庫も建設。台湾工場ではハラル認証の取得に取り組んでいる。

台湾で生産したどらやきは中国の上海や廈門(アモイ)などに輸出し、日本からは大連に輸出している。海外展開による販売エリアは前述したアメリカ・韓国・台湾に加え、オーストラリア・ヨーロッパなどおよそ16カ国(2013年時点)に及んでいる。