一般職で入社したのにいつのまにか所長に

鈴木氏の改革はまず支店の女性たちから始まった。01年入社の代々木上原営業所所長・湯浅葉子氏はその転換期を経験している。

代々木上原営業所所長・湯浅葉子氏「どんなに高い目標でも、やるなら一番いい結果を出したい」

何回も個人表彰を受けており、女性営業のトップとして若くして拠点の長を任されるようになった彼女だが、入社当時は一般職だった。

新卒で横須賀支店に配属された彼女は、入社当時は一般職としてリテール(個人向け)営業を行っていた。「数年で結婚して辞める先輩も多かったし、育休をとっても辞めてしまう。自分もなんとなくそういうイメージでいたんです。毎日遅くまで残業して、日々をこなしていくことで精いっぱいでした」

しかし、ちょうどその頃は、鈴木氏が「女性活躍」を強く推し進め始めた時期で、湯浅氏のキャリアは思わぬ方向へ進む。2年目にエリア総合職に転換し、05年に課長代理、さらには、06年に本店営業に異動となった。

当時は「女性が本店営業に来るなんて」と誰もが驚く時代だ。「本店営業の女性は100人の部隊に数人。同等に認めてもらうには結果を出すしかないと思いました」。そして、彼女は実際に成果を挙げていく。

結果を出せば評価につながる、それが鈴木氏の「女性活躍推進」だ。湯浅氏が大きな数字を出せるようになった時期に、今度は法人向け新規開拓の部署への異動を打診される。

「今までの女性のキャリアはリテールで終わるのが普通でした。それが、今度は法人向け新規開拓という、ベテランの男性が任されるような仕事が来た。チャンスだと感じました。これが自分の可能性を広げる大きな転機になったんです」

現在、4人の部下を持つ彼女。今では部下を育てるのがやりがいの一つだ。