自分の「軸」をつくり、可能性を広げる

さて、冒頭の話に戻りましょう。「転職が多いことはキャリア形成で不利か?」「20代で確立しなくてはいけないものとは何か?」「今後、どのようなスキルが必要とされるか?」という問いに対して、私は次のように考えます。

まず、転職について。これは前述したことからもお分かりになると思いますが、軸がブレていなければ複数回の転職をしても大丈夫だと私は思っています。いや、これからの時代は、ブレない軸をつくり上げることによって、転職によるステップアップを考えるべきだとも言えるかもしれません。

そして、20代で確立すべきもの。これは繰り返しになりますが、まさしく「自分の軸」を見極めることだといえます。自分はどう生きるのか、どう働いていきたいのかを、20代のなるべく早い段階で考え、確立させることができれば、社内でのキャリアアップも、転職によるステップアップも、その道筋を描くことが可能となり、より前向きに進んでいけるようになると思います。

そして、これから必要となるスキル。これは言うまでもなく「英語」と「ITリテラシー」でしょう。今後は、ますますボーダーレスになりますし、IT技術は日進月歩で進化していきます。特に英語については、単なる「語学屋」ではなく、ビジネスツールとしてマスターして、プレゼンテーションに活用ができるレベルまで伸ばす事が必要です。また、ITリテラシーについては目先の業務に向けてではなく、将来を見据えて、経営的な発想で活用できるレベルまでアップさせる事を目指していただきたいと思います。それによって、今後のキャリア形成の可能性は大きく広がっていくと考えられます。

ここまでが私のビジネス人生・第1フェイズで学んだこと。次回は、MBA取得後、いよいよ外資系企業に飛び込み、「オメガ」や「ジャガー・ルクルト」といったグローバルな時計ブランドで、マネジメント職を経験した中で身につけたことをお話ししたいと思います。

森本道子(もりもと・みちこ)
株式会社ココミーユ 代表取締役
男女雇用機会均等法の施行前である1983年に大学を卒業。日系大手食品会社に就職した後、日系企業2社に勤務。慶應義塾大学ビジネス・スクールにて経営学のMBAを修得した後、「ジャガー・ルクルト」や「オメガ」といったグローバルな時計ブランドを扱う外資系企業4社にて、マネージャー、ディレクター、事業責任者として活躍。2013年に長年の夢であった起業を目指して独立、日本初のベビーパール専門のジュエリーブランドを提供する株式会社ココミーユ(http://coco-mille.co.jp/)を設立。代表取締役社長として現在に至る。

撮影=石井雄司