望まない層が管理職に登用されていく?

【白河】女性からは「出世」と「仕事」がセットになっているのはおかしい。現場でプレイヤーとして貢献したいという意見も多いですね。「問題のあるレストラン」というドラマを見ていて、その中のセリフにはっとしたのですが「いい仕事がしたいんです」と主人公が言う。いい仕事をしてあがっていくのならいいが、いい仕事を阻害するようなへんなパワーゲームに終始したくないということだと思います。

【中野】いい仕事をする=管理職競争とセットになっているのですが、今のままの管理職イメージ、24時間対応できて責任をとるというようなイメージでは、管理職を目指す女性は増えないと思います。皮肉なことにWLB重視の人のほうが、長く会社に残って管理職になる可能性がある。数であげていくと、やる気満々の人が辞めていって、ある程度割り切った人が会社に残りやすい。そうなると、安倍政権の掲げる「責任ある地位の女性3割」を引き受けるのは、もともと「出世志向」がない人になるので、本人にとっても、戸惑いがあると思います。

【白河】2030のような数値目標ができると、望まない人も管理職になる可能性も高いでしょうね。まだまだ環境が整っていないところは多いですが確実に世の中は変わってきています。もし後輩の女性たちに何かアドバイスがあるとしたら、なんでしょうか?

【中野】私には戦略はなかったけれど、結果的にライフイベントやハンディを負ったことをバネにして本も出したし、世の中をいい方向に変えたいと思っています。だから一緒に戦おうということですかね。制度やルールはおかしかったら変えられる。1人でやるとつぶされてしまうかもしれませんが、みんなで声をあげていくことが大事かと思います。