【白河】不利どころか、評価につながるともっといいですね。マッチョでバリバリ仕事をしている妻は夫にも出世してほしいと思っていると書いていらっしゃいましたね。
【中野】それもありますが、出世してほしいということよりも、この人から「やりがい」や「今一生懸命やっていること」、プライドを奪っていいのか、と思ってしまう妻も多いのだと思います。仕事をしたい気持ちや、周りの男性と違うことをしたときに被る不利益がわかるので、尊重したいと思い、女性のほうが自分の仕事で遠慮してしまうんです。
【白河】本のケースの中には「夫は仕事がつまらないといいながら大黒柱だから働いている」という女性がいましたね。このご夫婦の場合、奥さんが大黒柱に回った方がいいかもしれません。女性の単体ではなく、仕事と家庭のバランスで理想的な夫婦のロールモデルってありますか?
【中野】そうですね。夫のほうにもまだまだ稼ぎ主意識が根強いですね。でも最近ちらほら夫婦でロールモデルという人も出てきています。私が代表をしている東大ママ門というコミュニティで言えば、妻バリキャリ、夫が研究者というケースがうまくいっているように見えますね。特に妻が外資系企業だったりすると。
もちろん研究者の夫たちも「海外の学会への参加はあきらめる」「なかなか本を書く時間がない」など、いろいろと苦労されているようですが。妻の海外転勤で夫がついていって行った先で仕事を探すとか、夫が子育てをして妻が単身赴任とか、様々なケースも見聞きしています。どちらかが完全に降りてしまうのではなく、時期によって夫婦ともに柔軟に動けるといいですよね。