商品開発には3つの関門がある

自ら商品開発の部門をつくり、商品開発の仕事を経験してみて、新商品が売れるためには3つの関門があると思いました。

第1の関門はバイヤーに認められて、お店の棚に並ぶこと、第2の関門は消費者に注目され、試し買いしてもらうこと、そして第3の関門がリピート買いしてもらうことです。

第1関門の突破は、営業力やバイヤーとの人間関係があればさほど難しくないときもあります。第2の関門を越すのも、お金をかけて人目を引くCMをつくれば可能だと思います。

第3の関門が一番高い関門です。

美味しさと利便性がなければリピートはありません。味に加えて、たとえば電子レンジで温めればすぐに食べられるといった利便性が必要です。商品に本当に力があるかどうかは、リピート買いされるかどうかでわかるのです。営業力もCMも関係ありません。商品そのものの力の問題ですから、ここで商品開発部門の真の力量が問われることになります。

濱口道雄(はまぐち・みちお)
1943年、千葉県出身。66年、慶應義塾大学商学部を卒業し、東邦生命保険相互会社に入社。68年ヤマサ醤油入社。73年取締役、82年常務取締役、83年代表取締役社長に就任し現在に至る。2007年より日本醤油協会会長に就任するなど、業界団体の要職を歴任。
(構成=Top Communication= 撮影=向井渉)
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