時代は変わり、有権者のニーズは変わった

これまで、いろいろな角度から選挙を見てきた。票の掘り起こしや情勢分析は、ビジネスでいえばマーケティングそのものだし、ポスターなどはパッケージ戦略、電話や口コミは販促活動といったところだろう。しかし、商売に例えれば、商品そのものが良くなければ成立しない。

では、商品(=候補者)はどのようなものが求められてきたのか。

「ベテランは実績を前面に打ち出します。かつては、地元の道路や鉄道といった“目に見える実績”がモノを言いました」(衆院議員の古参秘書)

ところが、時代は変わり、有権者のニーズは変わった。

「政治とカネの問題は未だに尽きることがありません。だからこそ、『クリーンさ』は不可欠です。加えて、世代交代を促すような『若さ』もウリでした」(野党幹部)

しかし、今年を振り返っただけでも、政治資金を個人的なもので使っていたことが明らかとなり、先に辞任した舛添要一前東京都知事や、妻の出産入院中に自宅に女性タレントを呼び、不倫を行っていたことが明らかとなり、辞職した宮崎謙介衆院議員など、有権者は裏切られた思いを何度も味わっている。

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では、政策面では、どうか。

「最近は、経済政策や雇用政策を訴えるより、社会保障をどうするかが、トレンドになっているようです」(選挙プランナー)

年金や子育て支援――、この国を取り巻く状況は、長く不透明なままだ。なにしろ、企業に例えれば、破綻寸前の負債を背負った赤字会社なのだから。

そこで、選挙プランナーに“良い商品”の見分け方の一例を伝授してもらおう。

「あれもやります、これもやりますと、“百貨店方式”の政策を打ち出している人はあまり信用できません。自分の強みとか、絶対これだけはやり遂げたいというものを掲げている人の方が、信用できるでしょう」

僅か3~4年の任期(参院議員は6年)の中で、やれることは数少ない。その限られた期間でチャレンジしたいことを一つでも具体的にわかりやすく訴えて候補者こそが、“良い商品”だとの指摘だ。

また、ある秘書はこう明かす。

「街頭演説の際、候補者に質問するのもいいでしょうし、ホームページやビラなどを詳しく読み、疑問などをぶつけてみるのがいい。有権者の言葉に耳を傾け、違った意見の場合でもしっかり話ができる人は“政治家力”がある人です」