ヤフオクがきっかけで「インターネットはすごいな」と

スターフェスティバルがお弁当を配達するオフィス街。

【田原】そこでインターネットと出合ったと聞いたけど、どういうことですか。

【岸田】会社のゴミ捨て場には梱包資材が捨てられています。あるとき、捨ててあった紐を引っ張ってみたら、有名ブランドのもので、10メートルくらいあった。そのころヤフーオークションが流行り始めていたので、家に持ち帰って、母親にアイロンをかけてもらってきれいにしてから売ってみたら、なんと10万円になった。それに味をしめて、会社のゴミ捨て場にあるものをネットオークションで売り始めたんです。

【田原】へえ。たとえばどういうものですか。

【岸田】高級ハンドバックは輸入時、段ボールで運ばれます。この段ボールがけっこう立派なもので、オークションだと1箱3万円で売れました。

【田原】段ボールが3万円? ゴミどころか宝の山だ。

【岸田】はい。週末ごとに車でゴミを大量に持ち帰って売っていたのですが、売上は最高で月数百万円になりました。本業のほうの給料は約20万円でしたから、それと比べてインターネットはすごいなと。

【田原】元手無しで月数百万円ならおいしい商売ですね。このビジネスはどれくらい続けたのですか。

【岸田】3カ月でやめました。インターネットのすごさは痛感したけれど、それだけすごいものだから、マネをしてゴミだったものをネットで売る人はすぐに出てくるはず。今後もインターネットでビジネスするなら仕組みを一から学んだほうがいいと考えて、ネットサービスの会社に転職することにしました。

【田原】それで楽天に入ったと。

【岸田】最初に受けたのはヤフーです。オークションで使っていたのがヤフーなので。でも、大学中退だったせいか不採用でした。他に似たようなことをやっている会社はないかと調べて、楽天を受けたのです。

【田原】すいません、大学中退で楽天入れるんですか。

【岸田】じつは1回、落ちてます。最初は紹介会社を通したのですが、箸にも棒にもかからなかったみたいで。だけど諦めきれなくて、次は楽天本社の公式サイトから申し込みました。インターネットにかける思いを込めた書類を10ページくらい書いて送ったところ、面接に呼ばれて採用してもらえました。当時の楽天は上場した直後で、大量採用していた。その意味でタイミングもよかったんだと思います。

【田原】そのとき岸田さんはおいくつ?

【岸田】25でした。