1人で40人担当! 夜勤の「魔の時間帯」

また、夜勤には「魔の時間帯」というのがあるそうです。

「16時間ぶっ続けで仕事をしたら体がもちませんから、交代で2時間ほどの休憩を取るんです。その休憩時間に食事をしたり仮眠したりするわけです。施設にもよりますが、ひとりが担当する人数は20人前後。私がいた施設の入所者は40人ほどいて、夜勤は2人で担当していましたが、ひとりが休憩すると残った者は40人のケアをすることになる。それが魔の時間帯。20人でも大変なのに、それが倍になるわけです。なかには、暴力性のある人もいますし、ものすごいストレスになります」

そもそも介護施設の職員が、このような過酷な環境に置かれていること自体、問題ですが、それに耐え働き続けるモチベーションはどこから生まれるのでしょうか。

「きれいごとに聞こえるかもしれませんが、ケアが必要な方に自分の力が役に立っているという実感が得られることでしょうか。それがやりがいになっていたような気がします。“ありがとう”と言われたり、言葉には表さなくても感謝の気持ちが伝わってきたりすると、それも喜びになります。そんな思いで働いている職員が大半だと思いますよ」

とはいえ、虐待のある施設が実在することも事実。では、そうした問題のある施設を、利用者が事前に見抜くにはどうしたらいいのでしょうか。

「施設は見学ができますし、お試し入所ができるところもある。できるだけ多くの施設を見学し、比較検討していただくことが必要です」

とふたりは口を揃えます。