知識偏重型の学力では、グローバル時代は生き抜けない。わかっちゃいるけど、どうすればいい? 各界の最前線で活躍する3人の先輩に、そのヒントをいただいた。
憧れの人がいたから血がにじむ練習も頑張れた
宝塚星組の男役トップスターとして、6年間も脚光を浴びてきた柚希礼音さん(トップ平均在任期間は2年ほど)。宝塚歌劇団100周年の顔としての活躍も記憶に新しい。飛び抜けたダンス能力、迫力ある声、類い希なるオーラと圧倒的な存在感。
今でこそ「宝塚に導いてくれた両親には感謝している」と語るが、ここに至るには、幾多の壁があった。
そもそも宝塚音楽学校に入る17歳のとき、9歳からずっと続けてきたクラシックバレエの道を諦めなければならなかったのだ。
親に「バレエは向いていない」と、はっきり言われたんです。身長が高くなりすぎたこともあるし、将来、職業としてバレエの道でやっていけるのかを心配してのことだったと思います。仲間たちは次々とバレエでの海外留学が決まり、私も世界最高峰のアメリカン・バレエ・シアターを目指すために渡米しようと準備していた矢先でしたから、落ち込み、苦しみ、悩みました。
そんなとき、両親が薦めたのが宝塚音楽学校だった。バレエ教室の先生も「向いている」と言ってくれた。
でも一度も観たことがなくて。「とにかく観に行こう」と両親に連れられて行ったのが真矢みき(現・ミキ)さんの花組公演。『ベルサイユのばら』のような漫画の世界をイメージしていたら、モダンでカッコいいんです。一糸乱れぬ群舞も素晴らしくて。心は徐々に宝塚へと動かされていきました。