非正規雇用の待遇改善は本当に進むのか
気になるのは、同じデスクワークながらも、オフィスワーク系とクリエイティブ系の200円近くもの時給の差。これは雇用企業側が求める人材の違いが時給の差へ繋がっているという。
「オフィスワーク系は事務や経理といった昔からある仕事です。若い未経験者でも実務を通じて力が身につきます。比べて近年クリエイティブ系に多いのが、ソーシャルゲームなどのディレクターやデザイナーといった仕事。専門的なスキルが必要なため『若くないが技術はある』といった経験者も多く採用されています」と深井氏は話す。フリーランスのベテランが、年齢と共に自力で仕事を獲得するのに疲れ、派遣で働き始めるというケースも珍しくないのだという。
右肩上がりの派遣時給は、企業の需要と人材数のバランスが崩れていることが大きな原因ということがわかったが、今後はどのような見通しになるのだろうか。
「前述したインバウンドは中国からだけでなく、アジア各国へと増えています。オリンピックもあり、今後も人材需要は増え続けると見られます。特に観光客に密接した販売系は間違いなく急増するでしょう。ですが、時給アップで採用できる層はすでに採り切ってしまっているのが現状。時給競争に限界が来た今、各企業は待遇や働き方の改善で人材を確保しようとする動きが増えると考えられます」(深井氏)
安倍首相が「非正規雇用の待遇改善」という指針を表明したこともあり、今後も派遣時給のアップは続く見通しだ。雇用形態への大きな動きも注目していきたい。