日本企業に求められる生き残りをかけた“失敗競争”
成功者を見ていると、我々は「成功」という最終結果にばかり目がいきます。彼らには才能があったから成功した、と単純に考えてしまいがちです。
しかし、成功するまでの長い間数々の障害に直面し、それを克服してきた障害は我々には見えないことが多いのです。私は「成功に向かって邁進し、数々の障害や失敗を克服しようと、その目的へのビジョンと情熱と忍耐力を持つ成功者」こそ賞賛しよう、と言いたいです。そういう人こそ私から見るとヒーローです。
企業の中には、力を発揮できていない、成果を出せないと思われている人がたくさんいるでしょう。しかし、その人たちは“できない人”ではなく、ある意味でNot Yetのカテゴリーに属する人だと言えます。一方で、かなりハイレベルな目的を達成している人でも、将来さらに何ができるか、その可能性は誰にもわからないので、彼らもNot Yetの人なのです。両者ともに、ポテンシャルを使い果たしているわけではないので、努力を続けて障害に挑戦し、それを乗り越えたときに、新しい可能性が見えてくるでしょう。
教育熱心な親は、子どもがオールAをとることしか考えませんが、それはあまりにも近視眼的な見方です。子どもに大きな夢、野心を持ってほしくないのでしょうか。
これは企業の上司と部下の関係にも大いに共通する点です。私は成績や評価は重要ではないと主張しているのでは決してありません。ただAという成績を獲得することは、驚異的な目的を達成する公式でもなく、将来驚くべき貢献をする保証でもない。アルベルト・アインシュタインは、人類に偉大な貢献をしましたが、成績は決してよくありませんでした。自分は平均よりも鈍いと思っていたほどです。だからこそ彼は誰よりも長く、深く考え続けたのです。