男女の力関係が逆転するときとは
しかし、権威主義的な直系家族の父親が力を持ち、女性の権利を剥奪して家に留め置くことができた時代は静かに終わりを迎える。70年前の男たちは国のために死ぬという役割を与えられることで威厳を保っていた。平和憲法が施行され、日本が戦争をしない国になると、今度は会社のために死ぬようになった。それもいまや昔の話になりつつある。死に場所を失った男は父親としての力も失い、女性を縛りつけるものは何もなくなった。
人口減少に悩まされる日本。企業は今後、働き手の確保のために、優秀な女性の採用に力を入れることになるだろう。安倍政権も「女性が輝く日本へ」と喧伝している。要は女性に対して家から出て働けと言っているわけだが、労働環境の整備はこれからだ。ただ、いずれは、女性が働きやすい環境が整備されるだろうし、女性が経営者になるのも当たり前になり、わざわざニュースで報じられるようなこともなくなるだろう。
男女雇用機会均等法が施行された1986年、女性の平均給与は男性の6割弱だったが2013年では7割と改善されている。女性の収入は確実に増えてきており、今後も増え続けるだろう。そうなると男性側には重大な問題が生じる。それは、経済的優位性を失うことで結婚できない男がどんどん増えていくということだ。
女性進出が進んだフランスでは事実婚が多いが、遠からず日本もそうなるだろう。「家の外に出る女はけしからん」という言説は、女性の力を抑えきれなくなった男の泣き言にすぎない。女性はその力を抑えつけられていただけであり、強くなったのではなく、本来の力を取り戻したと言ったほうがより正確だろう。女性はもともと強かったのだ。