一番のマーケティングは「勝つこと」

本城部門長は「最大の強化のポイントは試合をすることでしょう」と言う。合宿でのハードワーク(猛練習)で鍛える。強豪チームとの試合でチェック、修正していく。とくに実戦でないと「ディフェンス」の強化、ボールを戦術的に動かす「ラグビー」の技術向上は難儀であろう。

日程をみると、現時点では、4月中旬のワールドシリーズのシンガポール大会以降、国際試合は予定されていない。4月上旬の同シリーズ昇格大会で勝って、5月のワールドシリーズのパリ大会、6月のロンドン大会に招待されればいいが、そうでなければ別の実戦機会をつくる必要がある。いずれにしろ、6月のロンドン大会以降は国際大会がない。

本城部門長はこう、言った。

「シンガポール大会からリオ五輪までの間のゲーム機会の構築が最大のポイントとなります」

目下、6月の後半をめどとし、海外のチームを日本に招いて、合同合宿、試合を実施する方向で検討している。日程表をよくみれば、国内合宿は開催場所が千葉、鹿児島など、転々としている。本城部門長によると、「リフレッシュさせたいという考えで、あえて(場所を)変えている」そうだ。

ついでにいえば、女子日本代表には「サクラセブンズ」という愛称があるが、男子日本代表には愛称がない。話題がそのことになると、本城部門長は「勝つことが一番のマーケティングですから」と乗ってこなかった。

セブンズの新しい歴史を創れるか。五輪メダルに向けての男子セブンズのし烈なポジション争いとハードワークが始まった。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)、『新・スクラム』(東邦出版)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。
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