【田原】ただ、新しい会社はそう簡単に信用してもらえないでしょう。メタップスはどうやって広告主の信用を勝ち得たのですか。
【佐藤】実際にお客様を儲けさせることが大切ですが、それ以外のところでいうと、知名度を上げることが大事ですね。世界中でアプリ開発者や広告主向けのカンファレンスが開かれていますが、私たちは必ず出席していました。そうすると「どこの国にいっても、あいつらはいるよね」と評判が立って、有名な企業だと思っていただけるようになる。けっこうきめ細かい努力をしていました。
【田原】佐藤さんは何かの雑誌で、12年にはアジアで1位、13年には世界で1位になるとおっしゃっていた。これは実現しましたか?
【佐藤】この領域では近いところには行けました。ただ、やっているうちに目標は上がっていくので、また違うものを見ています。
【田原】違うものといえば、メタップスは新しく「スパイク」という事業を始めましたね。これもよくわからなかった。どんな事業ですか。
【佐藤】スパイクはインターネット上でのお金の流れをスムーズにする仕組みです。ネット上でのお金のやり取りって、面倒くさいじゃないですか。たとえばお店がカード決済の仕組みを導入しようとすると、審査されて許可が出るまでに1カ月くらいかかるし、設定の手間もかかる。そこをボタン1つで、一瞬でやり取りできる仕組みをつくりました。
【田原】具体的にこれまでの決済システムと何が違うの?
【佐藤】最大の違いは、手数料が無料なことです。インターネットの決済は、お金を送ったり払ったりした瞬間にだいたい3%から5%の手数料を引かれます。粗利10%の業種で手数料を引かれると利益が残らなくなってしまう。これは痛いので小さなお店での導入が進まなかったのですが、無料にすればそれも解消できるだろうと。