次は文法の学習について。「文法よりリスニングや会話力のほうが重要」と回答した人が、伸びた人で61.6%、進歩がない人で55.6%に達した。どちらも文法軽視の傾向が見てとれたが、これは正しいのか。
「TOEICで問われる文法は中学レベルなので、テスト対策として文法軽視は正解。逆にいうと中学レベルの文法を習得していないと話にならない。不安な人は一度、中学のテキストからやり直してみるといいでしょう」
単語学習は「英文中で覚える」派と「単語帳で覚える」派がいるが、英文派は、伸びた人で68.2%、進歩がない人で60.3%。単語帳派は、伸びた人で20.2%、進歩がない人で25.6%だった。どちらも英文派が多いが、単語帳派は伸び悩む人に多い。
「単語は文脈中で覚えないと使えるようにならないので、単語帳より英文の中で覚えたほうがいいのは当然です。そのときも、スペルを覚えて満足するのではなく、音を覚えることが大事。聴いて覚えることで、リスニングのときの反応速度が変わってきます」
なぜ“ながら勉強”が必要なのか
学習時間はどうか。1日の学習時間は、伸びた人が平均81.0分、進歩がない人が平均63.6分だった。その差は1日約17分で、伸びた人が上回ったものの、極端な違いではない。裏を返せば、わずか17分の差でスコアは大きく変わるということだ。
気になるのは、17分の差がどこでついているのかという点だ。学習する時間帯について、「就寝前」と答えたのは、伸びた人で60.0%、進歩がない人で59.9%で、ほぼ同じ。それ以外の「起床後、家を出るまで」「通勤途中」「昼休み」「帰宅途中」では、いずれも伸びた人が進歩がない人を上回る(図参照)。
伸びた人も進歩がない人も就寝前のまとまった時間を学習に充てているが、伸びた人はさらにスキマ時間を活用している。17分の差も、そこでついたと考えるのが妥当だ。
「英語学習には、集中してやる勉強と、集中していなくてもバックグラウンドで英語を聴いて慣れる“ながら勉強”の両方が必要です。通勤途中などのスキマ時間は、ながら勉強向き。伸びた人はおそらく通勤中に英文を聴き、帰宅後に集中して読むといった学習をしているのではないでしょうか」