A店で購入すると、1万円のタブレット端末が6500円で購入できる。一方、B店はポイント還元なので、支払うのは1万円だ。ただし、5000円分のポイントがもらえるので、そのポイントを使ってパソコンソフトを手に入れた。確かに会社の先輩がいうように、実質的には1万円を払って、1万5000円分の商品(タブレット端末とパソコンソフト)を購入したことになる。
ということは、5000円の値引きと考えることができる。そして、1万5000円から1万円への値引率は「5000÷15000=0.333…」だから、約33.3%の値引きということになる。一方、A店の値引率は35%だから、値引率で比べると、A店のほうがお得ということになってしまうのだ。
同じ要領で次の問題を考えてみてほしい。「1000円の商品を買うとする。C店は18%引きのセール中で、D店は25%のポイント還元をしている。どちらの店で買ったほうが得か」。
D店は250円分のポイントがもらえ、そのポイントで250円の商品をさらに買うと、実質的に1250円分の商品を1000円で購入することになる。つまり「250÷1250=0.2」で、値引率は20%だ。したがって、D店のほうがC店の18%引きセールよりもお得ということになる。
このように、値引きとポイント還元を単純に数字だけで比べると落とし穴にはまる危険性がある。たとえば、「50%の割引と50%のポイント還元は同じではない」ということを是非おさえておきたい。
もちろん、ポイント還元の本質を知らずに利用しても、損をしたと感じることは実際にはほとんどないだろう。しかし、世の中にはこうした数字のカラクリがいろいろあったりする。一歩踏み込んで本質を知るという視点を持つことが、「数字に強くなる」ためには必要なのだ。