女性というのは相手の男性に敬意を払われ、価値を認められているという点を重視する。女性も男性に負けず劣らず非常に強い性欲があるわけだが、相手の男性から敬意を払われていない、価値を認められていない、安全が保障されていないという状態では性的関係に進むことはない。よって、相手の女性を誘い出すうえでの第一歩はまず自分が信頼できる相手であることを見せ、女性の感情に配慮できる男性だと示すことだ。たとえば、「もし君がよければ、夕食をとりながらもう少し話を続けたいんだけど」と誘ってみる。もし相手がノーと言ったら、深追いしてはならない。あなたが女性の意思に配慮できる相手だと示すのだ。
周囲への配慮ができる人は、女性への配慮もできる。狩猟部族においては、最も裕福な男とは一番多くを周囲に分け与える者であり、物質的には一番貧しい場合がほとんどである。しかし 、物質的に一番貧しい男こそ、一番友人が多く、最も尊敬されており、セックスの相手にも恵まれているのである。
ただし、もしあなたに高い知性が備わっているにもかかわらず、相手の女性が金銭にしか興味がない場合は、選ぶ相手が間違っているのだ。間違った相手に対して悪あがきするくらいなら、自分のよさを認めてくれる「次」に行ったほうがよい。私自身もこの真理にたどり着くまで若いころ散々時間を無駄にして遠回りしたが、それが成熟というものだ。
そうやって彼女を誘い出し、障壁も乗り越え、めでたくカップルになれたとしよう。それでも、何年かすれば必ず倦怠期がやってくる。例外はない。そして浮気する場合が多い。こういう統計では往々にして嘘をつく人が多いので一概に信用できるとは限らないが、米国の既婚男性のうち約60~70%、そして既婚女性の30~40%が結婚相手以外との性交渉の経験があるという。
ただし、要注意なのは「不倫」の定義が文化により大きく異なることだ。これについては、パメラ・ドラッカーマンが映画『Lost in Translation』をもじって『Lust in Translation』(Lustは“肉欲”の意)というタイトルで書いた本に詳しく書かれている。米国の場合は、いかなる事情であれ結婚相手以外と関係を持った場合は「不倫」と見なされるが、皆さんご存じの通り日本で風俗に行くのは「不倫」ではなく問題にはならない。同じく、ロシアの場合は「夏休み中のできごと」は不倫とカウントされない。社会が一夫一妻制を堅持していても、実態は大きく違うのだ。浮気はするのが普通であり、この制度はあくまで経済的な意味で私有財産を自分の子供に相続させるために女性の性的関係を束縛するシステムにすぎない。