揺るがぬ「覚悟」
荒れた海に船を乗り出す船長の心境か。まだ40歳。爽やかなイメージの高橋由伸氏がプロ野球巨人の新監督に就任した。NHKテレビによると、26日の就任会見ではこう言った。表情は硬くみえた。
「今まで先輩たちが作り上げてきた伝統を守りつつ、自分らしさを出しながら、覚悟を持ってまい進したいと思っています」
打撃コーチ兼任となった今季、巨人はセ・リーグ4連覇を逃した。チーム打率はリーグ最下位に終わった。またチームでは野球とばく問題にも揺れている。
そんなとき、監督就任を要請され、18年間の現役生活への未練を断ち切り、受諾した。巨人V9時代を覚えている人間からしたら、ジャイアンツは特別なのである。そうそうたる歴代監督がならぶ。相当な覚悟なくして、監督になるのは難しかろう。
決断の理由の1つは、先輩たちからのエールだった。入団時の監督だった長嶋茂雄終身名誉監督、原辰徳前監督、王貞治球団会長らから背中を押された。1歳年上で同僚だった松井秀喜氏とは電話で話したそうだ。
「松井さんは、それはすごくいいことじゃないかと。僕にもできることがあれば、何でも協力すると。とにかく思い切って頑張ってくれということでした」