居酒屋で「とりあえずビール」と注文するならいざ知らず、「とりあえず」の仕事などどこにもないのかもしれない。

とはいえ、「実は」も「とりあえず」も、ついうっかりの発言。多くのビジネスパーソンに聞いてみると、そういった、言ったら最後、信用が急降下する残念なワードが山のように出てきた(図参照)。

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印象が悪いことが多い口癖

「無理です」「できません」といった無気力系のNGワードもあったが、それより目立ったのは「わたし的には……」「○○さん的には……」「……みたいな」「だって……だから」「別に……」など、友人や家族との会話なら問題なくても、TPOをわきまえずにビジネス上でも使っていると、自分に対する周囲の評価をいつの間にか落としてしまう言葉だ。いかに対策を立てるべきか。

「口癖をチェックするべきかもしれません。言葉の選び方だけでなく、間の取り方、話のリズムやスピードなど修正点はたくさん見つかると思います。プレゼンテーションも、緊張しているせいもあって『えっと』『まぁ』などの口癖が出てしまい印象や評価が悪くなる可能性もあります。だから、私はスマホで自分のプレゼントークを録音して、無駄な言葉を省くようにしています」(メーカー・商品企画・女性32歳)

「僕が気をつけているのは、ひと塊の話をつなぐ言葉です。顧客や上司に説明するときは流れが大事です。森→木→枝葉の順で話をすると、相手の頭にもスムーズに入っていきます。そのとき説明と説明の間の接続詞を強く意識するのです。話の内容を反転させる『しかし・ところが』なのか、事例を紹介する『具体的に言うと』なのか。話の論理展開を事前に明快にしておくとトークが破綻しません」(商社・男性36歳)

注意しなければならないのは、前出の「実は」と同じく、「要するに」「つまり」「ひと言で言えば」と前置きしたものの、ほとんど話の「まとめ」にならず、ダラダラと話が続いて相手を辟易させてしまうケースが多々見られることだ。

前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント代表取締役社長
土岐大介
1961年生まれ。日本鋼管、日興証券、ゴールドマン・サックス証券および上記を経て、現在は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授、東北大学特任教授。
 
デロイト トーマツ コンサルティング シニアマネジャー
河野英太郎
1973年生まれ。東京大学では水泳部主将として活躍。大手広告代理店などを経て現職。最新刊に『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』。
 
(堀隆弘、平地勲=撮影)
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