なぜ、出世街道を外れた人が富裕層になるか

さて、前回は、年収が上がるというのは単に収入が増加したというだけではなく、その社会的な帰属集団や自分のアイデンティティが変わってしまうから「単純な倹約」では「谷に落ちる」という悲劇は回避しにくいという話をいたしました。

じゃあ、どういった人が貯蓄しやすいかというと、「会社では決して本流の出世街道とはいえない人や公務員の人」などのように、年収が上がることはあまり見込めないにしても、倹約をすると決めこんだ場合に、その節約が帰属集団や自分のアイデンティティに与える影響の比較的軽微な人です。

公務員のような堅実な仕事をする人だけではありません。

本業の傍ら、不動産投資を始め、それに成功することで財をなす人々もいます。私の知るそうした蓄財に成功した人々は、現在は裕福ですが、過去はみな山あり谷あり。例えば……。

・脱サラしてコンビ二経営をするが失敗して廃業
・勤務先の会社が倒産
・ハローワークに行くが中卒で仕事がみつからなかった3人の子の母
・夜逃げ、離婚、自己破産したタクシー運転手
・25歳フリーターで億の借金を背負う

上記事例の最後(25歳で億の借金)は僕ですが、ことごとく本流から外れている。僕の不動産投資顧問会社で投資を続けて富裕層になった人は多いですが、大手証券会社に勤務しながら本流ではない部署にいたり、外資系投資銀行に勤務しているけどバックオフィスなど出世街道からは既にはずれつつあったりする人が、結果的に大きな資産を残しています。