走行距離1327kmで初の給油

日本初の海底トンネル、関門トンネルを抜けて九州に入った。1160kmを走ったが、燃料計はまだ2メモリ残っていた。

さて、東京からの走行距離はこの境港で概ね800km。燃料計は8メモリ中4メモリが残っている状態であった。そこからは山陰自動車道および国道9号線で一路、関門トンネルの通る下関へと向かう。出雲を過ぎ、太田付近を走行中、道路案内板に「下関240km」の表示が。島根に入ったら下関はもう目前という感覚でいたが、日本の広さは甘くはない。

国道9号線は大田から益田までが日本海沿いで、そこからは内陸に向かい、山間の小京都・津和野付近を経て瀬戸内に出る。この区間は山岳路なのだが、先に述べた京都北方の国道477号線とは異なり、全線2車線の高速ワインディングロードだ。

ボルボV60の変速プログラムは「ECO+」「D」「S」の3モードがある。この区間ではもっともスポーティなSモードも試してみたが、他のモードとはフィーリングが別物で、D4エンジンがれっきとしたハイパワーディーゼルなのだということを如実に体感することができた。スロットルの踏み込みが深い場合、回転制限の5000rpm付近までをきっちり使い、即座に自分の望むだけパワーを出せる。ディーゼルは高回転のフィールが苦しいというイメージがあるが、D4は高回転まで引っかかり感や頭打ち感がほとんどないまま、一気呵成にタコメーターの指針が跳ね上がる。パワードライブを楽しみたいときは、迷わずSモードに入れるといいだろう。ただしSではスタートストップ機構(アイドリングストップ)が作動せず、またアイドリングの回転数も上がるため、市街地ではおすすめできない。

関門トンネルを抜け、門司に到着した時点での走行距離は1159.2kmで、燃料計は残り2メモリ。山陰側を回ったため、瀬戸内経由に比べて走行距離はかなり多いが、まだいくらか走れるようだ。燃料警告灯が点灯したのは1235km地点、残り航続距離225kmの地点であった。福岡・熊本県境を越えた後、内陸の菊池温泉に向かった。

菊池は渓流沿いに温泉が点在する、とても気持ちの良い保養地。その渓流のほとりに露天風呂を設置している清流荘に立ち寄り、木々の緑が湯面に映える昼間の露天風呂に入った。この日は気温が40度近くに達するほどの猛暑日だったのだが、温泉に入ると不思議と暑さを感じなくなる。十分温まって湯から出ると、涼しくすら感じられる。渓流のそばだから気温が低いのかなと思いながら体を拭くと、とたんに熱気が肌を突き刺すのだ。気化熱恐るべしである。

温泉地を後にして、走行距離1327kmの地点で残り航続距離が100kmを切ったため、念のためすぐ近くにあった給油所で燃料を満タンにした。給油量はちょうど70リットルで、燃費は18.9km/リットルであった。事後、ボルボ関係者にきいたところ、燃料警告灯はオレンジ、赤の2段階になっていて、赤になったら早く給油するくらいの気持ちで大丈夫らしい。その意味では少し給油が早かったかもしれないが、Dセグメントのステーションワゴンをワインディング区間を含め、優速気味に走らせた結果としては上々の燃費と航続性能と言える。片道500km程度のツーリングなら、途中で燃料残量を気にしなければならないことはまずないだろう。ちなみにこの後鹿児島まで足を伸ばし、帰路は瀬戸内経由のルートで走ったところ、東京まで無給油でゆうゆうと走破することができた。