小規模自動車メーカーが絶好調

ボルボは日本市場に新世代ディーゼル車を投入した。

規模の追求こそが生き残りを分けるということが半ば常識となっていた自動車業界において今、注目度を上げているのが小規模メーカーのパフォーマンス。日本ではマツダ(2014年の生産台数132.8万台)とスバル(88.8万台)が商品の独創性と経営スコア改善の両面で高く評価されている。とりわけスバルは“北米一本足打法”の懸念はつきまとうものの、昨年度の売上高営業利益率が世界の自動車メーカーの中でも屈指の14.7%に達した。

日本勢だけではない。海外でも小規模メーカーが独自性を保ちながらサスティナブルに事業を継続できることを示す事例が出てきた。その最たるメーカーは年産46万台と、スバルのさらに半分のビジネススケールにすぎない英国ジャガー・ランドローバーだろう。2014年の決算では売上高4兆1500億円(1ポンド=190円換算)と、ホンダの3分の1の規模ながら、税引前利益はホンダを超える7850億円をマーク。売上高に占める利益率は実に18.9%だ。

そして、ここにきてジャガーと同じ元フォード傘下のプレミアムセグメント専業メーカーで、中国の浙江吉利控股集団に売却されたスウェーデンのボルボ・カーが、長年の危機から脱しようとしている。昨年の世界販売は46.5万台、売上高4兆700億円(1スウェーデンクローナ=14.4円)と、規模はジャガーとほぼ同じだが、フォード傘下時代、ジャガーに比べてブランディングが遅れていたことから付加価値を思うように上げられず、これまで利益は低迷を続けてきた。

その利益の薄さとは裏腹に、ボルボは今、乗りに乗っている。本国スウェーデンのイェーテボリ工場、中国の成都工場ともフル稼働で、バックオーダーを抱える状態であるという。好調の要因のひとつに、ようやく技術のアップデートが完了したことがある。ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、また電動化技術であるプラグインハイブリッドの3種類の新世代パワートレインをそろえ、低燃費、低CO2、将来技術の3点をクリアすることで、ボルボが持続可能性のあるブランドであるということを示したのが功を奏したと言える。

そのボルボが今年7月23日、日本市場に新世代ディーゼルを投入した。その仕上がり具合を試す機会があったのだが、果たして小規模メーカーは開発リソースが小さく、新商品開発では不利なのではないかという疑念を丸ごと払拭するに十分なレベルに達していた。